平成25年度卒業式祝辞

 111期生の皆さん、卒業おめでとうございます。
 保護者の皆様方におかれましても、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。


 さて、卒業生の皆さん、横浜平沼高校は1900年創立以来、卒業生の数は君達を含
めて約3万6千名になります。先輩達は色々な分野で神奈川はもとより、日本、そし
て世界において、大いに活躍していることは、校史教育や先輩セミナーなどで承知し
ていることだと思います。


 君達は自分自身の成長の糧にするために先輩達をおおいに活用・利用して欲しいと
思っています。同窓であるというのは不思議なもので、同じ平沼の出身であることが
分かって、年代を越え、主義主張を越え、急に話が弾んだり、物事がスムーズに運ば
れたり、などということはよく耳にすることであります。どうか、積極的に機会を捉
えて、先輩達と交流を図ってください。縦の繋がりを大事にして欲しいと思っていま
す。


 さて、卒業に当たって一言。卒業生の皆さんは本日を境に、今までよりも一段と大
きな社会へ出て行くことになります。君達は間違いなく変化の激しい、そして、諸々
の情報が氾濫する時代を生きていくことになります。膨大な情報が錯綜する中、君達
は本物・確かなもの・真なるものを見分ける・見つけ出す目を養っていかなければな
りません。紛い物でない偽者でない本物を見分ける目であります。このことは、人、
物、考え方、等、普段生活する中で接するもの全てが対象になります。人は本物と向
き合うことによって、真なるものと接することによって人間的に深まっていくものだ
と思います。しかしながら、このような目を養う事、持つ事は、云うは簡単ですが、
実際には容易なことではありません。けれども、この確かな目を持つことは絶対に必
要なことであります。


 ここで、参考になるかもしれない二つの言葉を紹介します。
 ひとつは、「田中つとむ」さんの本の中にあるもので、読み上げます。 

学び

「書物」に学び
「先人」に学び
「歴史」に学び
「自然」に学び
「宇宙」に学び

学ぶ気になればあるある
すべてが師   というものです。

 もうひとつは、中国、明の時代の儒学者である「呂 リョ」という人の言葉で、

「深沈厚重なるは、これ第一等の資質。
磊落豪雄なるは、これ
第二等の資質。
聡明才弁は、これ第三等の資質。」と言っていま
す。

 第一等の資質、深沈厚重(しんちんこうじゅう)は“どっしりとして重みがあり、
落ち着いていて動じないこと。寛容で、かつ、威容を持ち合わせている様子。くだ
らない事には心を動かされない、確固とした己の信念を持ち合わせている姿。”


 第二等の資質、磊落豪雄(らいらくごうゆう)は“気が大きく朗らかで、小さい
ことにこだわらず、さっぱりしていること。型にはまらない、度量が大きい様。


 第三等の資質、総明才弁(そうめいさいべん)は“頭脳明晰で才があり、弁が立
つ様。”
という意味です。

 「本物」とはこの第一等の資質(深沈厚重)を備えている人や物であり、また、
真なるものにめぐり会うためには自分自身が第一等の資質を備えるべく努力せねば
ならぬということなのかな、とフッと思ったので紹介しました。参考にしてみてく
ださい。

 さて、話が長くなりました。最後になりますが、真澄会より、平沼高校の思い出
として、校歌と応援歌の入ったCDを卒業記念として送ります。聞いてみてくださ
い。まだ実感できないと思いますが、何年か後には校歌の持つ力・凄さをきっと感
じると思います。涙することもあるかもしれません。同期会など、何かの時に活用
してもらえれば幸いです。

 それでは、君達の前途が洋々たるものであること、君達の未来が豊かなものであ
ること、そして、本物を目指して逞しく生きてゆくことを切に祈念して、真澄会か
らの祝辞を終わります。