校歌の作曲家「幸田延」に関するトーク&コンサートに行ってきました/岸村(内田)惠子さん(71期)

「歴史を作った女性音楽家たち クララ・シューマンと幸田延」

 

2022.7.20 於:アートフォーラムあざみ野

偉大な作曲家なのに、世の中にあまり知られていないこと。
何故、神奈川県立高等女学校が幸田延に校歌の作曲を依頼したのか?
この2つを知りたかったからです。

帰宅してから、改めて何故を解明したく、「創立百周年記念誌」を開いてみました。
…ありました、いろいろな記述が。
ナビゲーターの浦川俊彦氏の解説は興味深く、コンサートでは、ヴァイオリニスト小林美恵さんによるヴァイオリン・ソナタの演奏がありました。未完のソナタですが、幸田延さんがソナタを作曲されていたことを初めて知り、さらにその曲の素晴らしさに驚きました。
音楽史の中では、女性音楽家は闇に葬られがちであったこともよくわかりました。


まず、50期 馬場昇先生の執筆(同窓会編P265より)
第一流の国文学者で歌人であり文学博士でもある(作詞の)佐佐木信綱さんにふさわしい作曲家ということで、幸田延さんにお願いすることになった。本校二回卒業生の末松美衛先生が東京音楽学校(藝大)卒業後母校に勤務されたことが縁になっている。

そして、2期 末松美衛先生の執筆(同窓会編P82「校歌の制定」より)
前に作曲をお願いしてあったので、幸田先生のお宅へ頂きに上がりました。
・・・第一の歌はおごそかに立派に、第二の歌は明るく勇ましく、それぞれの歌の心を充分表した立派な曲です。

最後に、音楽の佐藤一夫先生の執筆(学校編P236より)
この校歌はまさに音楽史上の文化財ともいえるものです。短い32小節の曲の中で6回も転調してます。・・・この校歌の短い中に多数の技法を駆使して、しかも気品を失わず形式(フォルム)を崩さず、見事に小宇宙を構築している事に驚かされます。
国家・団歌・校歌などは、面白いとか、楽しいというよりも先ず象徴なのです。シンボルですから、河・海・山・野・歴史などを歌い、何かを讃えるという月並みなものが長持ちします。シンボルなら第一級の作家による、文化財的な作品が良いでしょう。平沼高校校歌は、校舎が変わり、人も変わって行く学校の歴史の中で、唯一伝統を保持して行くシンボルなのです。

なるほど!こうして校歌ができあがったのですね。
ヴァイオリン・ソナタは女性らしい美しい旋律の流れでありながら、その中に凛とした勇ましさを感じさせるものがある素晴らしい曲でした。
また聴きたいです!!
何回でも聴きたいです!!

校歌の成り立ちを理解した上で、これからも、伝統を保持して歌い続けましょう!!


                  ※創立百周年記念誌より引用3件(一部略)
岸村惠子(71期)

2022年08月02日