花橘55号 連載(4) 先輩セミナー 堀 潤さん(93期、アナウンサー)

先輩セミナー2004
―魅力と特色プラン委員会― 

開催日および講師紹介

① 6月19日(土)
 池田達郎さん(63期)ドキュメンタリー映画監督
② 6月26日(土)
 間瀬勝一さん(60期)横浜市芸術文化振興財団
 エグゼクティブディレクター
③ 7月3日(土)
 枝元なほみさん(70期)料理研究家
④ 7月10日(土)
 神山 明さん(68期)東海大学教養学部芸術学科教授
⑤ 9月11日(土)
 堀 潤さん(93期)NHKアナウンサー


堀 潤さん(93期、NHKアナウンサー)

 まず簡単な自己紹介をします。私は平高時代、ラグビー部、軽音楽部、応援団に所属していました。学校生活を十分に謳歌し、そのため一浪して、立教大学ドイツ文学科に入学しました。兵庫県から引っ越してきて、岩崎中学の出身です。ちなみに高3の時の担任は現在教頭先生である井上先生でした。
 現在、NHK岡山放送局に勤務する入社4年目のアナウンサーです。岡山放送局では、夕方の一時間番組の司会をしたり、現場中継をしたり、アナウンサーとしてニュース原稿を読んでいます。
 今日はまず、私が企画した番組、ふるさと発インタビュー「革新こそ伝統なり」のビデオを見てもらいたいと思います。アナウンサーと言うと、ニュースの原稿を読むことだけが仕事だと思っている人が多いのですが、この番組では、私がディレクター兼アナウンサーとして番組を制作しました。(「備前の革新者」と呼ばれた備前焼の人間国宝である伊勢崎淳氏にスポットを当てた番組を見る。)
 いかがですか?皆さんは横浜という大都会で暮らしていますが、地方には豊かな文化、歴史が至るところにあります。実は、昨日も人口300人あまりの瀬戸内海の小島にいました。
 放送において、「何を伝えるか?」は最も重要なことですが、私は、「人に喜んでくれること」をいつも念頭に置いています。例を挙げれば、台風16、18号の被害は特に西日本ではひどいものでした。又、アメリカの同時多発テロの時は、岡山銀行の支店から中継をしました。自然災害、海外の事故等では、ニュースを心待ちにしている人たちがいます。私は、 正確な情報を迅速に伝えることが自分たちの仕事の価値であると考えています。
 今、プライバシーの侵害等マスコミの被害がずいぶん話題になっています。原理原則に反することなく仕事をするということをもう一度考える必要があるでしょう。
 さて、せっかくの機会ですので、実際にニュース原稿を読んでもらいましょう。9月7日11時40分発の台風のニュースです。
 気象庁の発表によりますと
 台風18号は
 今日午前9時半ごろ
 長崎市付近に上陸し、
 午前11時には
 佐賀市付近にあって
 1時間40キロの速さで
 北東に進んでいるものと
 見られます。(これは本物のニュース原稿の一部を抜粋したものです。)
 (2名の生徒がこのニュース原稿を読んでくれました。)
 ニュースを読むこつは、うねりがなく耳に入ってきやすく読むことです。実演すると、手を挙げて斜めにおろしながら読む、2枚の原稿でも1回しか息継ぎをしないで読めるものです。意味の変わるところで息をつき、呼吸をコントロールすることが大切です。(実際に、堀氏にこの原稿を読んでもらいましたが、生徒全員から拍手が起こるすばらしいものでした。)
 最後に君たちから質問を受けて答えるという形で話をしてみましょう。(生徒全員に紙を渡し、質問を書かせ、それを回収して答えてくれました。)
 マスコミは人気の職種ですが、ちなみにフジテレビの競争率は12,000倍、NHKは7,000倍だそうです。
 NHKにはアナウンサーが500人ほどいるそうです。毎年の採用は、男子20名、女子3名です。
 放送における差別用語は特に厳しく、「手短に」なども差別用語で使えません。
 料理番組で、おいしくない料理を食べる時は、「かなりパンチが効いていますね。」「この味を出すにはずいぶん苦労されていますね。」などと答えます。

(以上、給料の話から、業界の裏情報まで、数多くの質問に丁寧に答えてくれました。このように1時間半あまりの時間があっという間に過ぎてしまいました。)

【生徒の感想】

 今回の先輩セミナーに参加してアナウンサーという職業にますます興味がわいてきました。堀先輩のお話しの中で一番印象に残っているのが9・11同時多発テロの話です。この事件に堀先輩の勤めている岡山放送局は関係が無いように見えるけれど岡山にある会社の支店が、あの貿易センタービルの中に入っている。だから、そこに勤めていた人達の日本に残っている家族や他の人達にいろんな事を伝えなきゃいけない。今ニューヨークはどんな状況で、どれだけの被害者が出ているか、とか。それを伝えるのがアナウンサーの仕事。それを聞いたときになにか衝撃を受けました。
 今まで、将来どんな仕事につけばたくさんの人達の役に立てるのかなぁと考えていたけれど、憧れていたアナウンサーという仕事で私が今まで思い描いていた役立ち方ができるんだと知って、ますます素敵な仕事だと思いました。将来の選択肢の一つにアナウンサーを入れる事にしました。とても参考になりました。また機会があれば、お話を聞きたいです。

2022年03月15日|公開:公開