2001年度の先輩セミナー
①6月28日(木)3校時 14組
篠崎孝子さん(45期)有隣堂会長
②6月29日(金)6校時 15組
小泉正昭さん(54期)TBS記者、アナウンサー
③9月12日(水)3校時 13組
梅沢慎司さん(54期)小学館専務取締役
④10月4日(木)6校時 17組
瀧井敬子さん(62期)東京藝大助手、音楽評論家
⑤10月23日(火)6校時 16組
間瀬勝一さん(60期)テアトルフォンテ館長、舞台監督
⑥10月31日(水)6校時 12組
遠藤ふき子さん(61期)NHKアナウンサー
⑦11月6日(火)6校時 11組
吉田孝古麿さん(50期)合唱団指導者
梅沢慎司さん(54期、小学館専務取締役)
近頃なにかと女性が優秀です。新入社員の80%は女性です。(このクラスは女子クラスですが)是非皆さんもマスコミを受けて下さいね。その関連の話を今日はいたします。雑誌はよく読みますか?昔ね、岸惠子さん在学中、「明星」とか「平凡」とかがインタビューに学校に来てね。それがマスコミっていいなというきっかけにもなりました。
一口に本といってもいろいろ種類があります。全集ものとか辞典とか、VTRやCDを作る人もいたり、週刊誌なども忙しい仕事です。昨日、アメリカで同時多発テロがありましたので、「ポスト」は、今日はバタバタと大騒ぎだと思います。一度作り終えたものを破棄して、全部刷り直したりしてね。何百万円も損したりすることもあります。出版社には、子供の本を作ったり、付録を考えたり、絵描きさんやオモチャ屋さんと話していたり、さまざまな人が集まっています。ポケモン、ハム太郎なんて企画が大当たりしてね、それは嬉しいものです。だから、こういう世界で生きて行くには、あっちこっちに行って情報を得たりする行動力や、しっかりと心理学を勉強したりする積極性が必要なんです。
出版という仕事は、結局は編集者と作者との共同作業で良いものを作るということなんです。心の中に豊かなものがないと、人と良い関係が作れないし、良いものは作れないのです。
ファッション誌はほとんどが女性の編集者です。労働条件も恵まれており、完全に男女平等です。小学館も半分は女性の編集長になります。今、日本の雑誌の部数は40億冊。日本人一人が年に平均30冊位は読む勘定です。うち半分は女性誌なんです。
辞書の編集は地味ですが、編集者の名前が100年も200年も残ります。誇りが持てます。英語の辞書を100万部刷っても、ポルトガル語の辞書はせいぜい2,500部。英語の辞書は2,000円でも、ポルトガル語の辞書は30,000円にもなる。辞書を作りたくて入ってくる人もいるんです。
編集長というのは、他からプレッシャーをかけられても、その人の権限でどんな展開も可能になる。言論の自由そのものです。ただし、売れなければクビになるだけです。「ピカチュー」や「動物占い」も最初は全然売れなかったのです。後で大きな売れ行きになる、それは喜びですよ。楽しい競争をすることが大切なんです。
(文藝春秋の記事のことですが)岸惠子さんの学校ですね、って未だに言われるんですよ。だから、男は頑張ったんですよ。入学した頃、男女共学でも教室は一緒じゃなかったんです。今、同窓会をすると120人くらいは集まる。卒業してから男女共学が始まったんです。
ところで、卒業してから人気のある人は、どのくらい勉強できたかということじゃなくって、どのくらい人の面倒をみたかってことなんです。人気のあった友人が亡くなって、鎌倉のお寺に碑を建てたんです。あいだみつおの「あなたがそばにいるだけで、こんなにすてきなことはない」という言葉を刻んであるのです。高校時代の友だちは、これからどうして生きていけばよいのかを考える時期だから、一生の友だちになるのです。
携帯電話、メール、インターネット、FAXとか、人の顔の見えない時代です。しかし、良い編集者は決まってアナログ人間です。この人のために書くのだ、と作家に言わせる編集者が一番なんです。心を豊かにする、高校時代はまさに、その意味で大切なのです。
最後に、世の中をいろいろトータルに眺める目を養って欲しい、と言いたいのです。物事の関連性がよく見える目が欲しい。外国語もそのために必要です。文字、写真、コミックと個別に上位とか下位とかいう関係で捉えてはいけない。手段としてそれらは用いられている。総体として考える力が必要なのです。頑張ってくださいね。